〈ロンドン・ナショナル・ギャラリー〉で起きた、フランシスコ・デ・ゴヤの名画「ウェリントン公爵」盗難事件。このイギリス中を巻き込んだ嘘のような実話を、『ジュディ 虹の彼方に』『クィーン』などのアカデミー賞受賞チームが製作。また監督は2021年9月、惜しまれながら逝去し、本作が長編遺作となった『ノッティングヒルの恋人』のロジャー・ミッシェル。名画で世界を救おうとした男が、人々に優しく寄り添う姿を描く、爽やかな感動作。
誰もが虜になるチャーミングな主人公を演じたのは、『アイリス』でアカデミー賞助演男優賞を受賞した名優ジム・ブロードベント。そして長年連れ添った妻を、『クィーン』でアカデミー賞やゴールデングローブ賞をはじめ数々の賞で主演女優賞を受賞し圧倒的な存在感を放つヘレン・ミレンが演じる。イギリスを代表するオスカー俳優の共演による、ユーモアあふれる軽妙な夫婦の会話劇も見どころのひとつ。また、『ダンケルク』の好演が記憶に新しいフィオン・ホワイトヘッドが息子役を演じ、そのフレッシュな魅力も見逃せない。
本作の主人公であるケンプトン・バントンは、実際に社会的弱者や傷つきやすい人たちのために立ち上がった。特に彼の心を動かしたのは、貧困によって社会から切り離された高齢者だった。またその夫の傍らには、長年の妻であるドロシー・バントンがいる。本作は、この愛すべき夫婦や家族のドラマである。